今やすっかりカーリングのメッカとして知られることになった北海道北見市。この街を拠点とする男子チームがKiT CURLING CLUBです。車いすカーリングのチェア部も活動しており、日本車いすカーリング選手権で優勝するほどの実力を誇っています。桑原グループがKiT CURLING CLUBを応援している縁もあって、チェア部のメンバーからこんな相談が寄せられました。「デリバリーヘッドというパーツがよく壊れてしまって、困っているんです」。

車いすカーリングの特徴は、デリバリースティックと呼ばれる棒状の道具を使ってストーンを投じる点にあります。ストーンのハンドルを手で握る代わりに、そのスティックの先にデリバリーヘッドと呼ばれる部品をつけて固定するのです(ちなみに、スイープと呼ばれるブラシで氷上をこする動作は車いすカーリングにはありません)。

ヘッドは外国製なのですが、競技で使用していると頻繁に破損してしまい、選手たちの負担になっていました。そこで私たちは3Dプリンターでオリジナルのヘッドを開発することにしたのです。ただパーツを強化にするのではなく、いかにより良いものにできるか。重視したのは選手の声に耳を傾けることです。寄せられた要望をもとに開発を進めていきました。

まず、破損の原因になるような力がどこにかかるのかを、既存商品のCAE解析によって確認。その結果をもとに特定部位に力が集中しづらい新形状を独自に設計しました。用いる素材には炭素繊維を配合させることで、強度を高めつつも軽量化も実現。スティックが軽ければ、より思い通りのスティックさばきが可能になります。他にも、しっかりとハンドルにセットされたことが目視できる形状にするなど細かな工夫を重ねて、試作機が完成。それを実際に選手に使ってもらいフィードバックを受けながら、改良を重ねていきました。そして、プロジェクトスタートから数ヶ月後、理想のヘッドが完成したのです。

このオリジナルの用具がKiT CURLING CLUBのさらなる躍進と、車いすカーリングの盛り上がりの一助になることを願っております。

【一般社団法人KiT CURLING CLUB 坂田谷様からのコメント】
桑原冷熱さんにイメージや仕様を伝えながら、何度も試行錯誤を重ねた結果、素晴らしい製品が完成しました。性能はもちろん、見た目も素晴らしく、その軽さや強度、ストーンの回転の滑らかさなど含めて、想像以上の仕上がりです。桑原冷熱さんのきめ細やかな対応には、理想の製品を一緒に作り上げていく姿勢を強く感じました。